
9月になっていくらか涼しくなってきましたね。
先月までは、蝉も元気に鳴いていましたが、
少しずつ蝉の鳴く声も少なくなり、
今では夜、コウロギが鳴いています。
秋を感じさせる季節になりました。
年内に新築戸建て購入に向けて物件をお探しの方にとっては
これからが本格的に動かれる時期かもしれませんね。
前回、『新築戸建て購入時の親からの資金贈与について』と題して
贈与者が資金贈与をした理由、受贈者が資金贈与を受けた理由など
アットリサーチによる調査結果に基づき、記載させて頂きました。
今回は、新築戸建て購入の際、もう一つの資金贈与の特例であります、
相続時精算課税制度について触れてみたいと思います。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、贈与者が受贈者の父母または祖父母で、
受贈者は受贈した年の1月1日現在で20歳以上の方が、
2,500万円の特別控除額を控除対象として受けられる制度です。
相続時精算課税制度には、一般と住宅取得等資金の特例があります。
一般は、不動産を含む全ての財産を贈与出来ますが、
贈与者が贈与した年の1月1日現在で60歳以上 という制限があります。
住宅取得等資金の特例は、その年齢制限がなくなる代わりに
贈与できる財産が、不動産を取得するための金銭に限られ
また、物件に対する様々な条件が付与されます。
住宅取得等資金贈与の非課税特例では、
受贈者の所得金額が2,000万円以下という制限がありましたが、
相続時精算課税制度では、一般・住宅取得等資金の特例ともに
所得制限はありません。
①適用対象となる住宅用家屋等
住宅取得等資金贈与の非課税特例では、
延べ床面積が50㎡以上240㎡以下
でなければ対象になりませんでした。
相続時精算課税の住宅取得等資金の特例では、
延べ床面積が50㎡以上であることで、上限はありません。
ご家族で、二世帯・三世帯住宅を希望されている場合、
延べ床面積が240㎡越えてしまうようなケースでは
相続時精算課税制度の適用を受ける方が良いのかもしれませんね。
②入居条件
相続時精算課税の住宅取得等資金の特例では、
入居条件として、贈与を受けた年の翌年3月15日までに
取得した住宅に居住しなければなりません。
どうしても、3月15日までに建物が完成しない場合で、
後日遅滞なくその住宅に居住することが確実であると
見込まれるときは、適用を受けることができます。
但し、贈与を受けた年の翌年12月31までに居住する
ことができない場合は、住宅取得等資金の特例は、
適用されなくなり、贈与税の対象となりますので
ご注意下さい。
※住宅取得等資金贈与の非課税特例も同様です。
一般の相続時精算課税では、入居条件はありません。
③非課税枠
住宅取得等資金贈与の非課税特例では、
平成28年分の一般住宅では、700万円
更に、基礎控除の110万円
を加算した810万円が非課税でした。
※質の高い住宅については、1,200万円
更に、基礎控除の110万円
を加算した1,310万円が非課税。
相続時精算課税制度では、
2,500万円の特別控除額が控除対象となります。
資金贈与の額が多いほど、
メリットも大きくなりますね。
※相続時精算課税制度を受けた場合には、
住宅取得等資金贈与の非課税特例と同様
翌年(平成29年3月15日まで)税務署での
確定申告が必要となります。
非課税特例と相続時精算課税の併用
住宅取得等資金贈与の非課税特例を選択するか、
相続時精算課税制度を選択するかは、適用条件を
満たしていれば、どちらでも自由に選択できます。
または、両方を合わせて適用を受けることも可能です。
例えば、平成28年分の一般住宅の場合で700万円(非課税特例)
+2,500万円(相続時精算課税)=3,200万円(資金贈与)
贈与税はかかりません。
その際、基礎控除の110万円は適用されませんのでご注意下さい。
相続発生時の相続財産への加算
住宅取得等資金贈与の非課税特例と
相続時精算課税の住宅取得等資金の特例とは、
共通する事項も多いですが、大きな違いがあります。
相続時精算課税では、贈与者の相続が発生した場合に
贈与財産の価格に相続時精算課税制度を適用して
贈与を受けた財産の価格(贈与時の価格)を
相続財産に加算して相続税の計算をします。
その際、既に支払った贈与税額がある場合は、
相続税額から控除されます。
尚、控除しきれない金額は、還付されることになっています。
住宅取得等資金贈与の非課税特例は、
相続が発生しても相続財産に加算されることはありません。
贈与を受けた年において課税関係が完結となります。
相続時精算課税制度を選択する場合には、
贈与者の財産価格にもよりますが、十分注意をして
選択することが必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
最後に、贈与者が父母または祖父母といっても、
自分自身の父母または祖父母のことであり、
配偶者の父母または祖父母は対象となりませんので
注意が必要です。
※住宅取得等資金贈与の非課税特例も同様です。
配偶者の父母または祖父母から資金贈与を受ける場合は、
配偶者が相続時精算課税制度(資金贈与)の適用を受けて、
配偶者との共有名義で新築戸建てをご購入することを
お勧め致します。
埼玉の不動産 ハウス壱番館の藤谷でした^^