
不動産を購入する際(ご契約時)には
仲介業者の宅地建物取引士より
重要事項説明を受ける事になります。
※説明を受けた後でなければ、売買契約を締結することは出来ません。
説明の中で法律的な内容で都市計画法や建築基準法など
土地に建物を建築する際、
様々な制限が定められている旨の説明があります。
聞きなれない単語や難しい条例の話など
およそ1時間くらい説明があります。
その為、その場ですべてを理解するのは大変に困難です。
そこで今回は重要事項説明の中でも
「その不動産がある場所では
どのような建物が建ち
どのような街並みになっているのか?」
を説明している都市計画法で定める用途地域について
触れてみたいと思います。
特に、これから新築住宅などをお探しの方は、ぜひ
ご参考にして頂ければ幸いです。
都市計画法では、都市計画区域内に区域区分というもの
を定めることができます。
■市街化区域
市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域及び
おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき
区域であり、建物をどんどん建てても良いですよという区域です。
■市街化調整区域
市街化調整区域とは、市街化区域とは逆に市街化を抑制すべき
区域であり、原則建物の建築はできません。
※建物の建築ができる場合でも、条件などがあります。
一般的には、都市計画区域内の市街化区域内で新築住宅
を購入されている方が多いと思います。
市街化区域内では、市街化の活性化に基づき、建物を
どんどん建てても良いですよという区域と述べさせて
頂きましたが、無秩序に様々な用途の建物を建築
すると住環境などに弊害を及ぼすことにもなり兼ねません。
そこで、地域ごとに合理的な立地規制、用途規制を
おこなう目的で定められているのが、用途地域です。
用途地域は、大きく3つに区分されていて、それぞれ
の目的、性格が異なっています。
■住居系の用途地域
主に住居の環境を保護するために定められる地域です。
■商業系の用途地域
主に商業その他の業務の利便性を増進するために定められる地域です。
■工業系の用途地域
主に工業の利便性を増進するために定められる地域です。
※用途地域は、住居系で7種類・商業系で2種類・工業系で3種類の
あわせて12種類に分かれています。
今回は、用途地域のなかでも住宅地として最適な、住居系の
用途地域を順を追ってみてみましょう。
第一種低層住居専用地域
第一種低層住居専用地域は、低層住宅の良好な住環境を保護する
ための地域です。
一般の住宅のほか、床面積の合計が50㎡までの小規模な店舗や事務所
などの併用住宅や、小規模な公共施設、小中学校、診療所まどを
建てることができます。
容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)や建物の高さ制限などが
他の用途地域よりも厳しいため、高層マンションなどあまり高い建物が
建つ心配もありません。
2階建の住宅や3階建程度の低層マンション・アパートが中心となる地域です。
だだし、一定規模以上の店舗や病院などは建てられません。
コンビニも建てられないため、日常の買い物などに少し不便を
感じるかもしれません。
第二種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域は、主として低層住宅の良好な住環境を保護する
ための地域です。
第一種低層住居住居専用地域に建てることのできる用途の他、
150㎡までの一定条件の店舗や飲食店なども建てることができます。
コンビニなどの小規模な店舗なども建てられるため、第一種低層住居専用地域
よりも少し利便性が良くなる地域といえるかもしれません。
第一種中高層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域は、中高層住宅の良好な住環境を保護する
ための地域です。
第二種低層住居専用地域に建てることのできる用途の他、中規模な公共施設や
病院、大学なども建てられます。
また、500㎡までの一定条件の店舗など、2階以下で300㎡以下の自動車車庫も
建てられます。
容積率などの制限も緩やかになり、3階建の住宅、3階建以上のアパートや
マンションが建ち並ぶ住宅街で店舗も増え、買い物などの利便性は
より良くなる地域といえます。
ただし、中高層住宅が建てられる地域ですので、陽当たりや景観など
将来影響を及ぼす恐れはないか周辺状況など充分注意が必要といえます。
第二種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域は、主として中高層住宅の良好な住環境を保護する
ための地域です。
第一種中高層住居専用地域に建てることのできる用途の他、2階以下で1500㎡
までの一定条件の店舗や事務所などが建てられます。
小規模なスーパーや、やや広めの店舗や事務所などが認められている地域です。
日常生活の利便性も更に良くなります。
第一種住居地域
第一種住居地域は、住居の環境を保護するための地域です。
3000㎡までの一定条件の店舗、事務所、ホテル、旅館などが建てられる他
環境への影響が小さい、50㎡以下のごく小規模な工場なども建てられます。
住居主体の地域ではありますが、中規模なスーパーや、小規模なホテル、
中小の運動施設、中規模な店舗や事務所などが建てられる地域です。
また、居住用の住宅としては、大規模なマンションなどが多くみられる
ような地域です。
第二種住居地域
第二種住居地域は、主として住環境を保護するための地域です。
10000㎡までの一定条件の店舗や事務所の他、ホテル、パチンコ屋
カラオケボックスなども建てられます。
また、環境への影響が小さいごく小規模な工場なども建てられる地域です。
第一種住居地域よりも、住居以外の用途や規模などが緩和される地域
ですので、住宅地として求められる場合は、より周辺環境などに注意
することが必要です。
準住居地域
準住居地域は、道路の沿道などにおいて、地域の特性にふさわしい業務
の利便の増進を図るとともに、これと調和した住居の環境を保護するため
の地域です。
住居系の用途地域の中で、最も用途の範囲が広い地域といえます。
第二種住居地域で建てることのできる用途の他、小規模な映画館、
劇場、車庫、自動車修理工場、営業用倉庫なども建てられる地域です。
国道や、幹線道路沿いなどに多い用途地域で、住宅と店舗や倉庫など
が点在するような地域といえるでしょう。
2つの用途地域にまたがる場合
2つの用途地域にまたがるような場合の用途制限は、その敷地に対する
面積割合が大きい用途地域の制限が敷地全体に適用されます。
例えば、店舗用地を探していて、1階建店舗で面積1000㎡を計画している場合、
その敷地が、第一種中高層住居専用地域と第二種中高層住居専用地域
にまたがるケースです。
敷地に対する用途地域の面積割合が第二種中高層住居専用地域が大きけ
れば、一定条件で1500㎡までの店舗を建てることが可能ですが、
第一種中高層住居専用地域が大きければ、一定条件で500㎡までと
なり、建てることができません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
住居系の用途地域でも、用途や規模など大きく異なることを
ご確認できましたでしょうか。
新築住宅を専ら住宅用として購入されたあと、定年後に趣味など
を生かして店舗を建てたいというような場合も、用途地域に
よっては制限されることがありますので注意しましょう。
新築住宅(住宅用)を探される場合、その周辺環境などを
現地で確認して頂くとともに、都市計画図(用途地域を
区分した地図)を確認することも必要です。
※都市計画図はインターネットなどでも見ることができます。
次回は、商業系・工業系の用途地域について、ご紹介させて
頂きます。
埼玉の不動産 ハウス壱番館の藤谷でした^^